たばこと塩あれこれVarious topics of tobacco and salt

ミュージアムコレクション

たばこ入れ

金唐革提げたばこ入れ

金唐革提げたばこ入れ
前金具 銀 大天狗
裏 座銀 鞍馬山彫り
根 付象牙(ぞうげ)銀波に海老と鳳凰
鏡蓋(かがみぶた)
緒 締銀 波
銀四十本小豆(あずき)組
金唐革
寸 法11.5×17.3cm(袋の部分のみ)

※こちらは常設しておりません。

江戸時代の金唐革(きんからかわ)を使用したたばこ入れの中でも、これは特に大きいものです。通常の庶民がこのような大きなたばこ入れを持つことは少なく、高価な金唐革をこれほどふんだんに使用したものも、あまり例はありません。おそらく侠客(きょうきゃく)や力士などが使用したのではないでしょうか。この金唐革は18世紀の北オランダで制作されたもので、細かくスタンプされた地に花模様に赤・青の彩色がなされています。金唐革は、鎖国制度下に、日蘭貿易により、オランダから出島経由で日本に輸入されたもので、大変に高価なものでしたが、これを使用したたばこ入れを所持することが庶民の間で流行します。

前金具には、鞍馬山の大天狗から秘伝を授かる牛若丸が、また裏座(うらざ・袋の蓋である「かぶせ」を止めるため、袋に付けてある金具「つく」と「かぶせ」を固定するもので、同時に前金具も固定しています)は、前金具との意匠を合わせて、鞍馬山の奥の院の岩肌と古木が彫金されています。緒締(おじめ)の部分は銀に波が彫られ、根付(ねつけ)は、象牙の饅頭形(まんじゅうがた)で、銀に鳳凰(ほうおう)と海老(えび)が彫られた鏡蓋(かがみぶた)が付けられてあります。この意匠の関係は不明ですが、作風は菊川系の金工師のものと考えられます。