たばこと塩あれこれVarious topics of tobacco and salt

ミュージアムコレクション

浮世絵

歌川国貞画「江戸自慢 山王御祭礼」

歌川国貞画「江戸自慢 山王御祭礼」
絵師歌川国貞
名称江戸自慢 山王御祭礼
時代文政(1818〜1830)頃
形状大判錦絵
版元 伊勢屋利兵衛版

※こちらは常設しておりません。

江戸後期から幕末の代表的浮世絵師である歌川国貞(くにさだ・後の三代豊国)の作品。四つんばいの母親の背に、バランスを取りながら立つ子どもという不思議な構図です。この謎は、左上に描かれた、山王祭(さんのうさい)の山車(だし)を描いた図に隠されています。実は、この親子の姿で、背の高い山王祭の山車を見立ているのです。山車は鯨(くじら)の潮吹きと熊坂長坂(くまさかちょうはん)が描かれています。もしかすると、鯨の吹く潮は、母親のたばこの煙、高い所から物見する盗賊の長坂が、母の背に立つ子どもなのかも知れません。

日枝山王社の山王祭は、神田明神の神田祭とともに、江戸城内に祭礼の行列が入ることが許され、将軍の上覧に供したことから、天下祭と呼ばれ、江戸を代表する祭礼でした。門を通って江戸城内に入るため、山王祭の山車には、門の高さぎりぎりまで山車を低くできるように、昇降式の仕掛けがありました。このような山車を江戸形の山車といいます(京都の祇園祭の山車などはこのような仕掛けはありません)。