たば塩通信News

たば塩ブログ

たば塩スタッフが近況やさまざまな活動について、最新情報をお届けします。

渋谷最後の展覧会とたば塩の近況2013.10.31

たば塩が休館して、およそ2カ月が経ち、季節もすっかり秋になりました。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

個人的には、休館している博物館の1日のリズムにようやく慣れたところです。開館中の博物館の1日は、10時に開館するための巡回や、受付・売店の準備などから始まり、18時の閉館時は、展示室を巡回しながら、装置の電源を落とすなどし、最後はお客さまをお見送りして終わるというものでした。この長年続けてきた日課がなくなったことで毎日のリズムが変わり、さらに、展示室にお客さまがいらっしゃらないという非日常に慣れるのに、なかなか時間がかかりました。

現在(2013年10月末)のたば塩前庭

現在(2013年10月末)のたば塩前庭

展示・資料面では、大きな作業がありました。渋谷区神南のたば塩は閉館し、移転・リニューアルオープンするということで、まずは常設展示室から資料を撤去する必要があります。

資料撤去後の常設展示室 資料撤去後の常設展示室 資料撤去後の常設展示室

資料撤去後の常設展示室

展示室からひきあげた資料はクリーニングして、現在は別の部屋で管理しています。移動が難しい大きな資料は、その場でシートをかけるなどの処置をする予定で、新館への展示に備えています。常設展示室での撤去作業はスムーズに進みましたが、各コーナーを担当しているそれぞれの学芸員には、一抹の寂しさや感慨があったことでしょう…。

さて、「たば塩ブログ」1回目は、7月27日(土)〜9月1日(日)まで開催していた「たばこと塩の博物館物語 〜35年の感謝をこめて〜」展にふれたいと思います。

渋谷での最後の展覧会となった本展には、32日間の会期中、実に17,861名のお客さまにご来館いただきました。小さなお子さまから大人まで、幅広い年代の方々が訪れてくださった会場は、常に熱気に満ちていました。

「たばこと塩の博物館物語」展会場 「たばこと塩の博物館物語」展会場

「たばこと塩の博物館物語」展会場

たば塩は開館35年目ですが、この間、当館そのものの歴史や当館コレクションの形成史などにスポットをあてた展覧会はありませんでした。お客さまからは「長く来ていたが、今回初めて当館の歴史を知った」「たば塩の由来がわかった」「コレクション収集の軌跡を知ることができた」といった感想を多くいただきました。この博物館の足跡を知っていただけたことは、私たちにとって意義深いだけでなく、当館に親しみを持って何度も通ってくださっていた方たちにとっても、今回初めてご来館くださった方たちにとっても、興味関心を深くお持ちいただけるものであったことを実感しました。

「たばこと塩の博物館物語」展の会場はもちろんですが、常設展示室もまた、お客さまの活気にあふれていました。

最終日の常設展示室 最終日の常設展示室 最終日の常設展示室

最終日の常設展示室

最後に一目……という方も多いように感じました。通常、比較的静かな博物館ですが、「たばこと塩の博物館物語」展会期中、とりわけ、ラスト2日間は無料公開とさせていただいたこともあり、おかげさまで大変なにぎわいとなりました。

photo

9月1日(日)の最終日について、「閉館イベントはあるんですか?」といったお問い合わせもお寄せいただきましたが、特にイベントは行わず、スタッフがエントランスホールで、渋谷たば塩最後の瞬間に立ち会いました。閉館時間の18時を過ぎても売店を中心にお客さまはまだまだたくさんいらっしゃいましたが、混乱もなく、渋谷での幕を静かに閉じました。閉館後も、外ではたくさんの方が、たば塩の姿を撮影していました。

9月に入ったというのに、とても暑かった1日。ご来館いただいたみなさま、本当にありがとうございました。

渋谷での幕を閉じたたば塩

渋谷での幕を閉じたたば塩

さて、本展は、35年目を迎えたたば塩の渋谷で最後の展覧会であることから、企画担当学芸員の案で、お客さまにメッセージを寄せていただくコーナーを設置しました。最終的に800枚くらい集まったでしょうか。2.4×4.2メートルの壁はカラフルなメッセージカードで埋めつくされました。

photo

展覧会の感想、休館を惜しむ声、たば塩との懐かしいエピソードが書かれたもの、個人的な思い出、そして新館への期待まで、さまざまな声が寄せられました。「ありがとう」と感謝の気持ちを書き留めてくださったものも多く、「こちらこそ」と本当に頭の下がる思いで、数々のメッセージ、目頭を熱くしながら読ませていただきました。

photo photo
photo photo
photo photo

メッセージから感じたのは、たば塩という博物館がみなさまに支えられていただけではなく、展示をご覧いただくことはもちろん、それ以外にも何らかの形でみなさまのお役に立てていた面があったのだということでした。そんなふうに思っていただける「たば塩」も、私たちスタッフも本当に幸せです。みなさまからいただいたメッセージについては、いずれ別の形でご紹介することもあるかと思いますので、今回は一部のご紹介とさせていただきました。

新館オープン予定の2015年春ごろまで、まだしばらくありますが、その間、ブログを通じてみなさまにたば塩の情報をお届けします。学芸員による「Web企画展」もどうぞお楽しみに。(Y・H)