たば塩通信News

たば塩ブログ

たば塩スタッフが近況やさまざまな活動について、最新情報をお届けします。

「たば塩のめくるめく日々」2014.7.31

こんにちは。ひと月のご無沙汰でしたが、みなさまお変わりありませんか?
 7月28日、“全国的に梅雨明け”との発表がありました。

渋谷・たばこと塩の博物館から代々木公園へ続く道。

渋谷・たばこと塩の博物館から代々木公園へ続く道。蝉の声もきこえて、夏本番!という感じでしたが、大きな木々の緑のおかげで、なんだか心地よかったです。

リニューアルに向けての打ち合せはさらに活発に行われています。外部の方ともですが、館内スタッフだけの打ち合せもますます増えています。開館しているときには、展示に関係する作業や催し物の際のお客さまのご案内など、現場に出ていることも多い職場ですが、今はデスクワークと打ち合せがかなりの部分を占めています。

パネル裁断時のカッターの手応え、パネルの釘打ち時に響く金槌の音。ずいぶんご無沙汰しています…。

打ち合せといえば、ここのところで、「サイン」の検討を続けています。

美術館・博物館、駅、デパート、空港など、どこかへ出かけると必ず目にするサイン。「トイレに行きたい」「コインロッカーの場所は?」「インフォメーションで直接問い合わせたい」などというときに、あたりを見回して、ぱっと分かるところにサインがあれば、すぐにそこへ向かえます。適切なところに的確なサインがあることは、利用者にとってとても便利で快適なものです。

新館の建物は現在工事中ですので、図面上での作業になりますが、どの位置にどういうものを付けるのか、各フロアの図面を広げながら奮闘中です。

さて、度々お伝えしている海外調査についても、引き続き行われています。

「塩」は担当学芸員がヴィエリチカ岩塩坑の撮影と、新館にて展示予定の岩塩彫刻の検収にポーランドに行ってきました。岩塩坑での撮影は、観光客がいない夜中に長時間にわたって行われ、かなりの肉体労働だったそうです。

また、検収を行った展示作品については、現地の彫刻家や職人、そしてスタッフの方々のおかげで、とても素晴らしいものができあがったとのこと。その「作品」が一体どんなものなのかということは、ここではまだお伝えしませんが、みなさまにご覧いただく日を、私も楽しみにしています。

そして、「たばこ」の方は、6月にトルコで調査・撮影がありました。

担当学芸員が、「メアシャム」の採掘のようすを撮影にエスキシェヒルへ、「チャイハネ」の撮影にイスタンブールへと行ってきました。そのときのようすを、学芸員が撮影した写真とともにお届けします。

みなさまは「メアシャム」をご存知でしょうか?

渋谷・たばこと塩の博物館の常設展でも展示していました。「海泡石」という白色の鉱物で、柔らかいので彫刻が施しやすく、使い込むと美しい飴色に変化していくため、パイプの素材として多く用いられています。

メアシャム原石
美しい飴色に変化したメアシャムパイプ

当館で展示していたメアシャム原石と美しい飴色に変化したメアシャムパイプ。

メアシャムの産地であるエスキシェヒルは、イスタンブールから車で5時間ほどに位置しています。メアシャムの採掘場は、建物もなく、平原が広がっているかのようです。この広い土地の、あたりをつけた場所にテントを張って穴を掘り、メアシャムを採掘するそうです。

今回、スタッフが撮影と採掘の体験をした穴は、質の良いメアシャムがたくさん採れる穴とのことで、縦穴に続き、横にも穴が伸びていたとのことです。地下では、土の壁に隠れているメアシャムの塊を見つけて掘り出します。ちなみに、穴の中には、ひと一人が入れるくらいの穴にロープで吊るされて入っていくのだそうです。

小高い公園から見渡したエスキシェヒルの町。

トルコ語で“古い町”を意味するエスキシェヒル。同じ色の屋根が並ぶ町並も美しいです。写真は、小高い公園から見渡したエスキシェヒルの町。

見渡すかぎり平原。この地下にメアシャムが眠っています。

見渡すかぎり平原。この地下にメアシャムが眠っています。

地面に穴を空けて、ロープで下り、メアシャムを採掘します。

地面に穴を空けて、ロープで下り、メアシャムを採掘します。まず、縦に穴を掘ってから、横に穴を広げていくとのことです。大きな機械を入れたりせず、人の手によって作業が進みます。

一方の「チャイハネ」の撮影。チャイハネは、チャイを飲んだり、ゲームをしたり、水パイプを吸ったりできる店で、トルコではよく見かける店です。日本では水パイプは珍しいものですが、トルコでは一般的なもので、多くの人たちがゆったりと水パイプを楽しみながら、おしゃべりをし、喫茶を楽しんでいます。新展示室では、こちらのようすもご紹介する予定です。どうぞご期待ください。

チャイハネを外から撮影。

チャイハネを外から撮影。テラス席もあって開放的な雰囲気。スタッフは夕方に訪れたとのことで、夕景がきれいで、写真を見るだけでもわくわくします。

水パイプ。

水パイプ。渋谷の当館常設展でも似た形状のものを展示していました。 写真のように、道具は床に置き、人はソファに座って吸うのだそうです。つまずきそうに思うのは私だけでしょうか…。

“Omake” from Turkey!〜たば塩学芸員のトルコおまけ写真〜

トルコでの調査の際、急な豪雨があったそうです。その際、地元の親切な床屋さんがお店に招き入れてくださって、難を逃れたとのことです。親日家の方が多いというトルコですが、思いがけないところで受けたその土地の人の親切の話に心が温かくなりました。

まるで川のように雨水が流れる街中。

写真でお分かりいただけるでしょうか?まるで川のように雨水が流れる街中。こんなことはトルコでも珍しいそうです。避難した床屋さんからの撮影です。

明け方の通称“ブルーモスク”。

明け方の通称“ブルーモスク”。美しい風景にスタッフも心癒されたようです。

話を日本に戻します。渋谷の館の展示室では、部分的に撤去・解体作業が行われています。先月には、塩の展示室のジオラマでの作業がありましたが、今月は、たばこの展示室の2軒のたばこ屋さんの解体作業が始まりました。

江戸時代のたばこ屋さんは、当時の「かかあ巻き ととう切り」(妻がたばこの葉を重ねて巻き、夫が細く刻む)をご紹介するもので、旦那さん、奥さん、お使いの娘さんの3人が店にいて、江戸時代にタイムスリップしたかのような雰囲気もあいまって人気でした。

渋谷・たばこと塩の博物館で人気だった江戸時代のたばこ屋さん 。

渋谷・たばこと塩の博物館で人気だった江戸時代のたばこ屋さん 。

この3人はだいぶ前に店を去り、今は新館での出番を待っている最中ですが、店は空き屋として残っていました。この店の屋根をこのたび撤去しました。

足場が組まれたたばこ屋さん。右奥に見えるのは昭和のたばこ屋さん

足場が組まれたたばこ屋さん。右奥に見えるのは昭和のたばこ屋さん

解体されていくたばこ屋さんの屋根。
解体されていくたばこ屋さんの屋根。

解体されていくたばこ屋さんの屋根。屋根型の板が載っていると思っていた方もいるかもしれません。
そもそもそんなに意識しない部分だったかも…。しかし実は、こんなにしっかり組まれていたのですね。
屋根の部材は新館でも使われますので、職人さんが丁寧に外しています。

一方、当館が平成16(2004)年に改装を行ったときに新たな目玉展示コーナーとしてできた昭和53(1978)年当時のたばこ屋さん。昭和53年は、渋谷の館が開館した年です。

この年のたばこ屋さんをイメージした店先は、商品の手作りポップが並び、店の前に立つとおばあさんの声で挨拶や道案内が聞こえるというしかけでした。

昭和53年当時を再現したたばこ屋さん。

昭和53年当時を再現したたばこ屋さん。実際に営業されていたたばこ屋さんの店先を移築した、
リアルな雰囲気のものでした。当時よくあったビニール製のひさしの上には「公園通り商店」の店名が
入っていたのを、お気づきだったでしょうか?赤電話や店の中のテレビも、懐かしいものでした。

「昭和」という時代が見直されていることもあって、たばこ屋さんのノスタルジックな雰囲気は人気でしたが、渋谷の展示室では店じまいとなりました。

果たして、新館ではどのような姿で開店するのでしょう?お楽しみに。

ひさしも店名看板も外され、お店も撤去されました。

ひさしも店名看板も外され、お店も撤去されました。

こうして、渋谷の館を、静かに、けれど着実に去る日が近づいているのだと思うと、寂しい気持ちになります。

一方で、今、それぞれの学芸員が準備をし、パワーアップするであろう新展示室を考えると、それは、スタッフである私もとても楽しみなのです。

渋谷の館を見上げた図。バルコニーの下にはロゴマーク。

渋谷の館を見上げた図。バルコニーの下にはシンボルマーク。2本のケヤキの葉がうっそうとしています。渋谷からブログをお届けするのも、あと数回となりました。

明日から8月。「猛暑」「熱帯夜」という言葉を度々聞くのでしょうね…。けれど、夏祭り、盆踊りなど身近で楽しい行事や、かき氷、素麺など、聞くだけで涼しくなれる食べものもありますね。暑い夏も楽しめたらいいなと思います。

みなさま、お身体には気をつけてお過ごしください。それでは、またひと月後に! (Y・H)