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「たば塩に吹きこむさわやかな風」2014.8.29

こんにちは。ひと月のご無沙汰でしたが、みなさまお変わりありませんか?
 暑かった8月もあと数日で終わりますね。ゆく夏はいつもなんとなく寂しいもの…。とはいえ、残暑はまだ続きそうですね。

レンガ色の建物が夏の青空に映える、渋谷・たばこと塩の博物館。

レンガ色の建物が夏の青空に映える、渋谷・たばこと塩の博物館。例年夏は、「塩の学習室」で、お客さまはもちろん、イベントスタッフ、学生なども多くいて、にぎやかでした。今年は静かな夏です…。

新館関係の打ち合せは、ここのところでますます増え、さらにとても具体的になってきています。展示室はじめ諸室、什器、サイン、通信設備など、ハードからソフトまで、新館がきちんと開館し、運営していけるように日々取り組んでいます。学芸員は、キャプションの原稿書き、展示室で使用する写真の手配、収蔵庫の資料配架の検討をはじめ、仕事が盛りだくさんで、毎日忙しくしています。

また、新展示室に向け、外部で制作されている造形物についても、徐々にできあがりつつあります。たばこでは、パレンケ遺跡関係の造形物をメキシコに検収に行き、塩は、塩田のジオラマや再現造形物の確認のため東京近郊のスタジオに行ったりと、担当学芸員が、館の内外を飛び回っています。

当館スタッフだけでなく、それぞれの分野で職人さんや技術者の方、さらにたくさんの関係者の思いがこもった造形物が集まる新館は、“パワーのるつぼ”になりそうです。

一方、引っ越しに向けての準備も進めつつあります。以前のブログで、私の机周りの整理の話を書かせていただきました。あの時は片付けのアドレナリンが出ていて、かなり(!?)進んだのですが、その後停滞気味です…。しかし、秋の事務所引っ越しは着実に近づいていて、私だけでなく、多くのスタッフに焦りの色が出ています…。

引っ越しということは、各自の机周りはもちろん、共用部分の準備も必要なわけで…。36年間の長きにわたってここ渋谷区神南で活動してきましたので、さまざまなものが生まれ、集まり、あふれています。

中でも、博物館の特徴かもしれませんが、紙資料がとても多いです。展示関連の印刷物から事務的な書類まで、本当に、すごい量です。このままでは、引っ越せない!と、ここのところで、私ともうひとりの広報スタッフは、当館の35年にわたる展覧会のリーフレット、ちらしなどの整理を行いました。

何かで使うことを想定して、展覧会終了後もかなり余裕のあるストックをしていましたが、収納スペースには限りがあるため、この機会にある程度整理することに踏みきりました。懐かしい展覧会ちらしの数々。感慨にふけりながらの作業でした。

1978年11月に開催した開館記念「肉筆浮世絵と喫煙具展」出品目録。

1978年11月に開催した開館記念「肉筆浮世絵と喫煙具展」出品目録。展覧会のちらし、リーフレットにご好評をいただいている当館が、展覧会で作った初めての目録です。

1978年11月から2013年9月までの235回分の展覧会や、その他のイベントのちらし、リーフレット、目録などの印刷物が収まっている棚。

1978年11月から2013年9月までの235回分の展覧会や、その他のイベントのちらし、リーフレット、目録などの印刷物が収まっている棚。ここについては、ひと通り整理を終えました。

整理途中で出てきた「館報」1号から3号。

整理途中で出てきた「館報」1号から3号。当館も開館当時は、館報を出していたのです。開くと、今ではいちばんのベテラン学芸員かつ学芸部長の若かりし姿が…。そういうものを見始めると、作業は全く進みません…。

思い切って整理した当館ちらし、リーフレットは、他のスタッフが整理した印刷物とともに段ボール箱に。

思い切って整理した当館ちらし、リーフレットは、他のスタッフが整理した印刷物とともに段ボール箱に。ちなみに、このスペースは映画上映や講演会を行っていた視聴覚ホールです。

さて、話題をかえて…。4月から新たにふたりの学芸員が加わったことは以前のブログでご紹介しました。

館に入って5ヶ月が経ちましたが、今もフレッシュな笑顔に変わりのないふたりです。当館では、毎年新入社員を採用ということはなく、とりわけ、学芸員という専門職の採用は非常に数少ないことです。それが今年、ふたりがやってきて、さわやかな風を吹きこんでくれています。

これからの館を担っていく彼らは、今は新館関連のさまざまな打ち合せへの参加、館蔵資料の整理、画像の貸出、研修会への参加など、さまざまな仕事をしています。休館中のため、展示作業や、来館されたお客さまの質問対応といった、現場での仕事が少なく、デスクワークがかなりの部分を占める毎日です。そのため、なかなか職場に馴染みにくいのでは?と心配していましたが、先輩学芸員のフォローもあって、とてもいい雰囲気で仕事に取り組んでいるようです。休憩時などに、時折聞こえる二人の笑い声は、実は今、私の癒しの音色なのです…。

今回は、そんなふたりの、たばこと塩の博物館で過ごした5ヶ月のコメントと、みなさまへのメッセージをお届けします。さあ、一体どんなメッセージが飛び出すのでしょう?

新人学芸員 からのメッセージ
〜massage from the new face!〜

はじめまして。今年の4月から「たば塩」で学芸員として働き始めました。

僕は、大学では、明治時代の庶民が朝鮮や中国をどのように見ていたのかを、浮世絵や講談などの娯楽作品を素材に、研究していました。ですので、浮世絵などを使ってユニークな展覧会を開催する「たば塩」には、前々から興味があり、何度か足を運んでいました。今その場所で働いていることは、とても感慨深いのですが、休館中ということもあり、未だ現実感がやや希薄です。

たばこと塩については、収蔵資料の整理をしながら目下勉強中。僕はたばこを吸わないのですが、働き始めてから俄然興味が沸き、通りすがりのたばこ屋さんを覗くクセがつきました。塩についても意識が変わり、スーパーで塩の商品表示を眺めたり、稀勢の里の塩まきに心奪われたり。日常生活も「たば塩」化しつつあります。

この5ヶ月間で特に印象に残っているのは、新館準備の一環で、きせる喫煙の実演を見たことです。実演したのは、我らがH学芸部長。その手慣れた所作もさることながら、刻みたばこの香りのやわらかいこと、一服の時間がとても短いことに驚かされました。ほんのひとときの一服に、支度や掃除などの手間ひまを費やす。きせる喫煙には、昔の人びとの時間感覚や価値観が息づいているような気がしました。

僕も、たばこと塩をつうじて、現代の私たちが当たり前のように感じている価値観を見直してもらえるような、学芸活動をしていきたいと思います。

最後に自己紹介を兼ねて、いくつか写真をご紹介します。

曇り空の下、好物のミカンをほおばる。

曇り空の下、好物のミカンをほおばる。

資料整理に何かと便利な竹ヘラ。

資料整理に何かと便利な竹ヘラ。自分で竹刀の断片を加工して作った、愛すべきパートナーです。

江華島の人参センター。

趣味や研究で韓国によく行きます。写真は江華島の人参センター。においが伝わらず残念ですが、朝鮮人参の山が圧巻です。韓国では、朝鮮人参も専売品でした。

開館後、皆さんにお会いできるのを楽しみにしております。
 よろしくお願い致します。 (Z・A)

初めまして、4月から「たば塩」の一員になりました。博物館での仕事も東京での生活も初めてという、初めて尽くしのスタートでしたが、少しずつ慣れてきております。

この5ヶ月間で、展示照明や収蔵庫管理に関する研修、また、新館関連の打ち合わせなどに参加させていただきました。新館の展示について話し合う先輩学芸員を見ていると、とても勉強になる一方、自分もこんな風になれるのかな?!と、少し不安になったりもします。

先輩学芸員からは、さまざまなことを学んでいます。まず驚いたのは、先輩方の机に積まれた本の量!それに比べ、私の机はまだ寂しい…。私も本に囲まれた、学芸員らしい(?)机を目指して頑張ります。

誰の机かは言えません…。絶妙なバランスで積まれています。

誰の机かは言えません…。
絶妙なバランスで積まれています。

私の机です。見栄を張って、一冊置いてみました。

私の机です。見栄を張って、一冊置いてみました。

最近は、収蔵資料に触れる機会が増えてきました。H学芸部長からは、文化財の梱包について、「資料の気持ちになって梱包する。ここが当たったら痛いかなとか…」と教わりました。その言葉がとても印象に残っています。

私は、大学ではペルーの植民地時代について研究していました。ペルーに1年間、チリに2年間住んだことがあります。たば塩での担当地域は世界ですが、世界といっても広すぎて、どこから研究を始めればいいのか悩みどころです。一つ注目しているのが、古代アンデスにおけるたばこの利用です。Web企画展でお伝えしているように、中米では古くからたばこが利用されていたと考えられていますが、南米ではどうだったのでしょうか。

ペルーのマチュピチュ遺跡。観光で3度も行きました。

ペルーのマチュピチュ遺跡。
観光で3度も行きました。

目が似ていると友だちに言われます。喜んでいいのでしょうか…。

目が似ていると友だちに言われます。
喜んでいいのでしょうか…。

学芸員としての仕事をしっかり覚えながら、さまざまな地域、分野に関心をもち、じっくりと調査・研究を進めていきたいと思っております。そして、その成果を、博物館を通じて皆様にご報告できたら幸いです。

今後ともよろしくお願い申し上げます。 (A・I)

いかがでしたか? 私自身が楽しく読ませてもらいました。まだ、みなさまに一度もお目にかかったことのないふたりですが、メッセージとともに、雰囲気やキャラクターなど、少しでも伝わればうれしいです。

新館がオープンしたら、みなさまも館内でふたりに会われることがあるかもしれません。また、時期がくればふたりそれぞれ、展覧会やイベントの担当をすることになります。ご期待いただき、見守っていただければとてもうれしいです。

「暑さ寒さも彼岸まで」との慣用句もあります。秋分の日を超えるあたりから秋らしくなっていくのでしょうか。年々、秋という季節が短くなっている気がしていますが、今年は「実りの秋」が長くあるといいなと思います。

8月の終わり、夕方の空。

8月の終わり、夕方の空。渋谷・たばこと塩の博物館屋上から撮影しました。冬の空気がきれいな日などは、ここからみえる富士山に、パワーをもらっていました。

季節柄、みなさま、お身体には気をつけてお過ごしください。それでは、またひと月後に! (Y・H)