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たば塩スタッフが近況やさまざまな活動について、最新情報をお届けします。

「高く澄んだ空と秋涼の中で…」2014.9.30

こんにちは。ひと月のご無沙汰でしたが、みなさまお変わりありませんか?
 今年は、残暑をあまり感じないまま秋になっていっている気がします。高く澄んだ空は秋の空で、朝はさわやか、昼間はまだ少し暑いものの、夜は肌寒いくらいです。北の方からは紅葉の便りも届きはじめています。

渋谷のたばこと塩の博物館の近況はというと、毎回同じことをお伝えするようですが、打ち合せに次ぐ打ち合せの日々を送っています。常設展示室、特別展示室、収蔵庫、視聴覚ホールなどの諸室、サイン関係、通信関係…。

そんな毎日の中、秋の気配とともに、引っ越しがより近づいてきました。休館してから今まで、時間がある中で過ごしていた日々とは違う空気が漂う今日この頃の事務所です。そんな渋谷の館で、9月には大きな作業がありました。

渋谷の館の表側は、休館して二ヶ月後くらいから緑のフェンスで囲われています。その上からでも堂々とした姿をみせているのが「喫煙の像」。春夏秋冬、いつもその凛とした佇まいでお客さまをお迎えしてきました。

フェンスで隠れていますが、その横には、もともと「東京市芝」にあった、明治のたばこ商・村井兄弟商会の工場門柱があります。開館時にご覧いただいていた方もいらっしゃると思いますが、とても自然な雰囲気で設置されているため、意外と気づかれない方も多かったかもしれません…。

フェンス越しにみえる「喫煙の像」。

フェンス越しにみえる「喫煙の像」。向かって左側にあるのが門柱。フェンスで見えにくいですが、石造りの重厚なものです。

そして、この「喫煙の像」と「門柱」にも引っ越しの日がやってきました。どちらも35年間以上にわたって、渋谷公園通りで時を過ごしてきました。彼らもまた万感の思いなのではないでしょうか…。

「喫煙の像」。
門柱を運搬できるよう、解体などの作業をする石のプロである石工のみなさん。

門柱を運搬できるよう、解体などの作業をする石のプロである石工のみなさん。
石が数段重なって構成されているため、パートごとに外す作業をされていました。
確実に、黙々と進行していく現場。
今回のリニューアルに向けて度々目にするプロの方の仕事ぶりは、接するたびにほれぼれします。

外された石。

外された石。新館で元のとおり復元するため、それぞれのパーツに「正面」「左」など、位置を示すテープが貼られていました。

門柱の作業が終わった後、別の職人さんにより「喫煙の像」の移設作業が始まりました。

門柱の作業が終わった後、別の職人さんにより「喫煙の像」の移設作業が始まりました。1メートル以上ある台座に載っていましたが、相当強く連結していたそうで、像を外すために、まず台座が壊されました。
台座から外れた喫煙の像は、2014年9月25日、長く親しんだ渋谷に別れを告げ、新しい地に旅立ちました。

館内では、もうひとつ大きな作業がありました。

「造形物の検収」については、以前のブログでも何度かご紹介してまいりました。造形物によって、製作場所が異なるため、メキシコ、ポーランド、東京近郊など、さまざまな場所に担当学芸員が出かけていって、チェックし、新館の展示に備えています。そんな中、今回は渋谷の館内で検収が行われました。

何の検収かというと、たばこ屋さんです。開館当時、みなさまにご好評いただいていた江戸時代のたばこ屋さんと昭和のたばこ屋さんも、建物の部材は再利用しつつ、新館に合わせてリニューアルします。新館で実際に組む前に渋谷のたばこの展示室で仮組が行われました。

旧展示の解体のようすは以前のブログでお伝えしたとおりで、一度、何もないがらんとした展示室になっていました。その場所に、新館に登場予定のたばこ屋さんを組んだのです。検収ですので、担当学芸員を中心に、展示業者さんの説明を受けながら、問題がないかなど細かく確認しました。

たばこ屋さんの建物
旧展示とだいたい同じ場所に仮組が行われました。

たばこ屋さんの仮組は、旧展示とだいたい同じ場所で行われました。あくまで検収のための仮組ですので、終了後は解体されました。

建物はできましたが、内側の細かい展示は、新館で実際に建ててからです。暗いので、展示業者さんがライトで照らす中、担当学芸員を中心に皆で確認しました。ちなみに、「ととう」と「かかあ」、お遣いの娘さんは未だ待機中です。

たばこ屋さんが解体されて、また広々とした展示室。

たばこ屋さんが解体されて、また広々とした展示室。休館しても、各部屋、各設備がいろいろな役目を果たしてくれているんだなとしみじみしました。

墨田区横川で新館の工事が着々と進む中、より具体的なモノの選定をする時期になりました。新しい場所ですので、休憩スペースの椅子をはじめ、お客さまをお迎えするスペースの什器を新調することとなります。どんな空間で、どんなふうにお客さまにお過ごしいただくかを考えながら選んでいます。

そして、ともするとうっかりしそうな、我々スタッフの仕事空間用の什器も検討しなければなりません。現在の事務所に慣れていますので、「新しい空間」というものがピンときませんが、書類ラック、文具棚、あげたらきりなくある什器をしっかりそろえる必要があります。これらの作業について、担当学芸員を中心に、今まで図面とカタログをにらめっこして選んでいましたが、先日ついにスタッフ皆でショールームに行ってまいりました。ショールームはとても広くてきれいな、ワクワクする場所でした。

デザインだけでなく、機能も重要です。

デザインだけでなく、機能も重要です。お客さまに座っていただくときはもちろん、収納することも考えなければなりません。皆真剣です。

人間工学に基づいた椅子やテーブルは、使い勝手も、デザインも、想像していたものの一段も二段も上をいっていました。

日進月歩というと、言い過ぎでしょうか…。人間工学に基づいた椅子やテーブルは、使い勝手も、デザインも、想像していたものの一段も二段も上をいっていました。
ここでは“快適な空間”を創り出すプロの方々の仕事ぶりに接しました。

「読書の秋」「芸術の秋」…。みなさまはどんな秋を過ごされるのでしょう?私たちたば塩スタッフには、「引っ越しに向けた秋」となりそうです。そんな中でも、「食欲の秋」は楽しみたいと思います。

過ごしやすい気候ですが、夏の疲れが出るころかもしれません。みなさま、お身体には気をつけてお過ごしください。それでは、またひと月後に! (Y・H)