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2016.12.20「伊達男のこだわり」展と「浮世絵のミニワークショップ」のおはなし

こんにちは。このページでお会いするのはなんと1年ぶりになってしまいました。みなさまお変わりないでしょうか?

今回は、現在開催中の「伊達男のこだわり ~きせる・たばこ盆・たばこ入れに見る職人の技~」の話題をお届けします。

この展覧会、タイトルにもあるとおり、伊達男たちのエピソードを紹介しつつ、喫煙具にこめられた職人技をご覧いただくものです。

「伊達男といえば?」の質問で頭に浮かぶ人物は人それぞれと思いますが、展覧会ではまず、その語源になったともいわれる伊達政宗にスポットを当てています。政宗の愛用していたきせるときせる箱を、それらをいかに大事にしていたかといったエピソードとともに紹介しています。仙台市博物館さんからお借りしたきせるときせる箱ですが、県外で展示されるのは初めてのようです。政宗の孫の綱宗のきせるも合わせて展示していますので、ぜひこの機会にご覧ください。

金工、漆工……、職人にもいろいろあります。展覧会の準備段階で、担当学芸員からいろいろなエピソードを聞きました。展覧会ができてみると、話を聞きながらわくわくした内容がしっかり展示に反映されていました。みなさんにもぜひ、展覧会場で味わっていただきたいです。

さて、いろいろなエピソードの中で特に面白いと思ったのが金工の話でした。廃刀令との関わりがとりわけ興味深かったです。金工の中でも高い地位にあったのは刀装具を手がける職人でしたが、廃刀令により彼らも喫煙具を手がけるようになります。彼らが手がけた作品は技術の素晴らしさにまず目を奪われます。さらに、「小柄(こづか)」とよばれる刀の一部分がきせるやたばこ入れに使われるなど、流用しているものもあります。実物をご覧いただくと、この“流用”のようすがよくお分かりいただけますし、はっとする美しさをご堪能いただけると思います。

展示では、名工とよばれた加納夏雄による作品もいくつか並びます。きせるだけでなく、世界に3点しかないといわれている“はばき”や小刀など刀関係の資料も展示しています。どうぞお見逃しなく。

本展では、さまざまな関連イベントも開催しています。すでに終了してしまいましたが、ご好評いただいた「浮世絵のミニワークショップ」を少しだけご紹介します。

この催しは、公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団にご協力いただいたものです。プロの彫師の「彫り」を見学した後に、実際に参加者に「摺り」を体験していただく内容でした。

「彫り」の作業

普段なかなか見ることのない「彫り」の作業を参加者のみなさんは夢中になって見学されていました。なんでも現在、プロの彫師は日本に10名ほどしかいらっしゃらないとのことで、私も数少ない彫師の仕事を間近に見学して、背筋が伸びる思いでした。

実演の途中には、参加者が版木を手に持ってみる機会もありました。

実演の途中には、参加者が版木を手にしてみる機会もありました。

彫師さんの仕事ぶりは、ご本人の雰囲気もあいまって、本当にすてきです。

彫師さんの仕事ぶりは、ご本人の雰囲気もあいまって、本当にすてきです。

また、摺りについても摺師による説明がなされてから実際にみなさんに摺っていただきましたが、市販の彫刻刀とセットになっているようなバレンではない、プロ仕様のバレンを使っての摺りだったこともあり、貴重な体験をしていただけたのではないでしょうか。ご自分の番になった参加者は、どなたも緊張しつつ、できあがりを見ては歓声をあげていらっしゃいました。このようなワークショップは、たば塩では初めての試みでした。またぜひ開催したいと考えております。

摺りを説明する摺師さん。
摺りを説明する摺師さん。

摺りを説明する摺師さん。優しく丁寧な説明にみなさん聞き入っていました。

熱心な参加者が、彫師さんに質問する場面もありました。

熱心な参加者が、彫師さんに質問する場面もありました。参加されたみなさんにご満足いただけたのではないでしょうか。

次のイベントは、年明け1月7日(土)に開催予定の仙台市博物館学芸員・佐々木徹さんによる「伊達政宗ってどんな人? ―その生涯と足跡」です。ぜひご参加ください。また、「伊達男のこだわり」展は、1月9日(月・祝)まで開催しておりますので、ぜひお越しください!

「山本コレクション 近代の袋物―たばこ入れからバッグまで―」

2階特別展示室の「伊達男のこだわり」展と合わせて、3階のコレクションギャラリーでは、「山本コレクション 近代の袋物―たばこ入れからバッグまで―」を開催中です。明治から昭和にかけてのレトロモダンな袋物を紹介しています。こちらもぜひご覧ください!

更紗のハンドバッグ。

更紗のハンドバッグ。素材、柄、いろいろな袋物の中から、お気に入りの袋物を見つけてみてくださいね。

最後になりましたが、今年もたばこと塩の博物館をご利用いただき、ありがとうございました。みなさんの支えが私たちの力になっています。どうぞ、来年もよろしくお願いいたします。

このページも、次は1年もおかず、もう少し頻繁にお目にかかれるようにしたいと思います。

いよいよ年の瀬です。何かと慌ただしいこととは思いますが、お身体を大切に、良い年をお迎えください。

(Y・H)