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2017.3.15「西アジア遊牧民の染織 〜塩袋と旅するじゅうたん〜」と
「コレクションギャラリー」のおはなし

こんにちは。
もう少しすると春分の日。いよいよ春がやってきます。みなさま、お変わりないでしょうか?

大横川親水公園の桜のつぼみも春を待っているようです。

4月から新年度。すでにHPでご覧いただいているかもしれませんが、2017年度開催予定の展覧会も決まりました。当館らしく(?)さまざまな内容でお届けする予定ですので、お楽しみに!

「2017年度 開催予定一覧」はこちら

さて、今回は、現在開催中の「西アジア遊牧民の染織 〜塩袋と旅するじゅうたん〜」についてのお話です。

「塩袋」って馴染みのない言葉だと思いますが、西アジアの遊牧民が塩を入れて使用する袋のことです。羊や山羊などの家畜にこの袋に入れた塩を与えることで群れ全体の動きをコントロールする役割も担っています。

展示中の塩袋。

展示中の塩袋。
家畜が首を入れて塩を舐めることができないように凸型をしているのが特徴。部族によって特徴的な紋様が織り込まれているとのことです。

実は、2008年、たば塩がまだ渋谷にあった時代に、塩袋をはじめとする袋物を中心にキリムや食卓布を合わせた遊牧民染織を紹介する展覧会を行い、ご好評をいただきました。今回の展覧会では、塩袋や袋物は数点にとどめ、絨毯に重点をおき、キリムを含めた作品約70点を展示しています。

更紗のハンドバッグ。

大型の遊牧民染織が並ぶ展示室は、BGMもあいまって、独特の空間になっています。
時の流れもゆるやかな気がします。

天然染料ならではの色のムラ、絨毯の上下に見えている原毛そのままのタテ糸、そして、シンメトリーでない意匠の構成など、遊牧民が織った絨毯ならではの魅力。所蔵者の丸山繁さんに教えていただき、はっとしたことです。最初は1枚の絨毯としてみていたものが、毎日眺めているうちに1点1点物語を持っているように感じるようになりました。

丸山さんは30年にわたって現地イランの各遊牧民エリアに40回以上も行かれているとのことで、そのエピソードもすてきなものです。イラン現地で出会った人々のお話もとても魅力的で、そのお話を受けて作品をみると、ひとつひとつの絨毯に込められた織り手の気持ち、絨毯に重ねられた時間に思いを馳せてしまいます。

展覧会も会期半ば、たくさんのお客さまにいらしていただいています。アンケートには「感動した」「温かい」「力づけられた」などのメッセージをいただいております。美しいだけでなく、迫力もある遊牧民染織の魅力に、みなさまにも触れていただきたいです。

広報担当の好きな絨毯3点。最初は、左の作品のような、染料を使わない、原毛で織ったシンプルともいえる作品が好きでした。徐々に目が慣れてくると、色が入っているものが好きになってきました。そして、ここにきて目が慣れてきたのでしょうか。右の作品のような深い赤色の絨毯が一番のお気に入りになりました。この色味がなんだかしっくり馴染むようになってきたのです。みなさんもお気に入りの1点を探してみてはいかがでしょう。

「西アジア遊牧民の染織」展は、4月9日(日)まで開催しています。また、3月18日(土)・25日(土)にはイベントもありますので、ぜひお越しください。

ミュージアムショップ

ミュージアムショップでは会期中、丸山さんの選んだ絨毯、キリム、クッションカバーなどを販売しています。展示作品と違って、こちらはご希望があれば手に取ってご覧いただくこともできます。ご興味のある方はぜひショップにお立ち寄りください。

もうひとつ、展示のご紹介です。当館の3階には「コレクションギャラリー」という小さな展示スペースがあります。これまでも所蔵資料を用い、いくつかのテーマで展示を行ってきました。

コレクションギャラリー

現在のテーマは「ウィピル」。この言葉、聞き慣れないと思います。ウィピルとは古代文明が栄えたメソアメリカで、メキシコ中央部から中米にかけての地域の先住民女性が着用している貫頭衣のことです。当館では、1990年代にグァテマラで行った調査の際に資料としてウィピルを収集しました。約20点所蔵しており、過去に数回展示しておりますが、今回は久しぶりのお目見えとなります。

色とりどりの貫頭衣。すっぽりとかぶります。手前にあるのはスカートや小物です。いずれも息をのむほど鮮やかです。

色とりどりの貫頭衣。すっぽりとかぶります。手前にあるのはスカートや小物です。いずれも息をのむほど鮮やかです。

特別展でご紹介している遊牧民染織、コレクションギャラリーの先住民女性の染織。用途も地域も違いますが、どちらも色彩にあふれ、温かみのある美しいものです。合わせてご覧ください。

あと2週間ほどで東京でも桜が開花するでしょうか? 良い季節を迎えますが、みなさまお身体には気をつけてお過ごしください。

それでは、また次回!

(Y・H)