過去の特別展・企画展
江戸の華 隅田川
江戸時代を通じて描かれた浮世絵には、隅田川の景色、花見や花火を楽しむ人々、隅田川を題材にした芝居を描いたものなどが多く存在し、隅田川がいかに人々に愛されていたのか、暮らしに根付いていたかをうかがい知ることができます。
作品紹介
溪斎英泉画
「江戸八景 隅田川の落雁」
天保(1830-1844)頃
画面右下に三囲(みめぐり)稲荷の鳥居、遠くには筑波山が見えることから、この作品では、隅田川は下流から上流に向かって描かれていることが分かる。人や荷を運ぶ川船が行き交う様子が描かれ、隅田川は人々の暮らしを支える川であったことがうかがえる。
水運の要所だった隅田川には、各所からの物資を江戸城下に運ぶ船が行き交っていました。それらの物資の中には塩もありました。徳川幕府は行徳(現在の千葉県市川市周辺)にあった塩浜を保護し、塩を運ぶ水路として、江戸川と中川を結ぶ新川、中川と隅田川を結ぶ小名木川と、運河を整備していきました。
長谷川雪旦画
「江戸名所図会 行徳汐浜」
天保7年(1836)
右奥に塩浜や塩を作る釜屋と煙が見える。塩は軍事物資としても重要なため、徳川幕府は行徳一体の塩業を保護し、江戸城まで塩を運ぶ水路を整備した。