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リニューアルオープン記念展 浮世絵と喫煙具〜世界に誇るジャパンアート〜

浮世絵について

浮世絵は今から340年ほど前、江戸を中心とした町人の絵師たちによって生まれた日本独特の絵画です。初期の浮世絵は墨一色でしたが、木版技術の向上につれて手彩色と簡単な色摺りに、さらに色を重ね摺りした多色摺りの「錦絵(にしきえ)」が明和2年(1765)に鈴木春信によって考案されると、絵師たちは互いに腕を競い合い、浮世絵の黄金時代を築きました。
浮世絵には、その時どきの評判の美女、歌舞伎の人気役者の舞台姿や似顔絵、歓楽の巷であった遊里のありさまなど、当時の人々の世相や風俗がいきいきと描かれています。そして、江戸時代も後期になると、全国各地の名所風景や街道筋の旅情をそそる風物を描いた作品もあらわれました。

幕末から明治時代初期にかけてヨーロッパに多数流出した浮世絵が、フランスの印象派の画家たちに大きな影響を与えるなど、世界の美術史上において浮世絵の果たした役割は大きく、今日でも日本を代表する絵画として世界的に高い評価を得ています。

鈴木春信画
「おせん茶屋」
明和2〜7年(1765〜1770)頃

谷中の笠森稲荷の境内に店を構えていた「鍵屋」という水茶屋の娘お仙は、美人として知られ、浅草奥山の楊枝店「本柳屋」の娘お藤と共に、春信はよく浮世絵に描いている。画中には、木地のたばこ盆と懐中たばこ入れも描かれており、茶屋などの人が集まる所において、喫煙具が欠かせない道具となっていたことが分かる。

東洲斎写楽画
「敵討乗合噺 四代目松本幸四郎の肴屋五郎兵衛」
寛政6年(1794)

写楽が活動した期間でも比較的早い時期に描かれた作品。独特の画風を持つ写楽作品の中で、比較的おとなしい構図の絵となっている。背景には「雲母摺(きらず)り」という技法が取り入れられており、印刷にひと手間かけたその効果で、人物が浮き上がって見える。

喜多川歌麿画
「当時全盛似顔揃 扇屋内花扇 よしの たつた」
寛政6年(1794)頃

当館所蔵の作品には、「花扇」の二字と禿名とが入っており、外題は「当時全盛似顔揃」となっている。一方、東京国立博物館所蔵の作品は、「当時全盛美人揃 扇屋内花」となっている。「扇」の文字と禿名を削除した理由については、寛政6年に花扇が駆け落ちをし、ほどなくして連れ戻された事件に関係があるといわれる。「当時全盛似顔揃 扇屋内花扇 よしの たつた」とある浮世絵は、当館以外には確認されておらず、大変貴重な作品。

鳥居清長画
「美南見十二候」
天明4年(1784)頃

喜多川歌麿画
「青楼十二時 続 戌ノ刻」
寛政6年(1794)頃

初代歌川豊国画
「四代目岩井喜代太郎の金神長五郎」
享和2年(1802)頃

葛飾北斎画
「富嶽三十六景 東海道吉田」
天保初年(1831)

初代歌川広重画
「東海道五拾三次之内 御油 旅人留女」
天保4~5年(1833~1834)

歌川国芳画
「陸奥国千鳥のたま河」
弘化4年(1847)頃

井上安治画
「銀座商店夜景」
明治15年(1882)