特別展Exhibition

過去の特別展

ウィーン万国博覧会の出品物 ~巧緻を極めた工芸品から農具まで~

ウィーン万国博覧会の開会は1873年5月1日でしたが、日本のパビリオンは展示作業が遅れ、全てが公開されたのは28日になってからでした。5月5日にはフランツ・ヨーゼフ1世皇帝夫妻が、会場の日本庭園を訪れ、庭園に架けた太鼓橋の渡り初めを行っています。
日本からの出品は、当時の目録によると、皮革、和紙、染織、家屋の雛形(模型)、人形、生活具、農具、楽器など多岐にわたり、合わせて日本の教育、生活、科学、産業、軍隊などの紹介もされました。
日本館の出品物や土産物はヨーロッパの人々に好評で、特に団扇の人気が高かったといいます。

「澳国博覧会参同記要」より 日本館内部
東京大学経済学部資料室蔵

日本館の会場を記録した版画。右の画像の大花瓶が描かれている。

染付蒔絵御所車文大花瓶
有田ポーセリンパーク蔵

富士山を染付、御所車を蒔絵で表現した大花瓶。高さ約2メートルで、出品された陶磁器の花瓶の中では最も大きな作品だった。

木製人形
ウィーン大学東アジア研究所日本学科蔵
University of Vienna-Department of East Asian Studies / Japanese Studies

袴を着たこの男性の人形は、各階級の日本人を紹介することを目的に作られたものと思われる。

金属製灯籠
レオポルトシュタット地区博物館蔵
Bezirksmuseum Leopoldstadt

博覧会に展示されたと伝わる灯籠。会場の日本庭園の社にかけられていたものかもしれない。現在は博覧会が開催された場所(レオポルトシュタット)にある地区博物館が所蔵している。

ウィーン万国博覧会に出品された喫煙具

ウィーン万国博覧会では、参加した35カ国のうちの30カ国が、たばこに関わるものを出品していました。
日本の出品物には、各地の葉たばこをはじめ、きせるやたばこ入れといった伝統的な喫煙具、また、葉巻箱(シガーボックス)、葉巻入れ(シガーケース)など、日本ではまだ新しい喫煙スタイルだった葉巻関係のものも含まれていました。
博覧会の主催国だったオーストリアからは、葉巻やスナッフ(嗅ぎたばこ)、紙巻たばこなどの製品のほか、メアシャム(海泡石)パイプなど、当時のオーストリアのたばこ文化を象徴するような喫煙具も多数出品されました。

「明治六年澳国維納大博覧会出品写真 煙具」
たばこと塩の博物館蔵

日本が博覧会に出品したたばこ関係の写真。葉たばこや伝統的な喫煙具のきせるなどが写っている。

装飾メアシャムパイプ
JTIオーストリアコレクション
JTI Tobacco Collection Vienna

オーストリアが博覧会に出品するために製作したメアシャムパイプのボウル部分。ゴシック建築の塔をイメージしたもので、蓋の最上部には、オーストリア帝国の王冠を模した銀製の飾りが載せられている。