過去の特別展
専修大学図書館コレクション展 〜書物に見る日本文化の『雅』と『俗』〜
専修大学図書館は、図書・約182万冊、雑誌・約22,000誌という蔵書数を誇る「知の宝庫」です。その起源は明治44年(1911)に完成した「相馬田尻記念書庫」に遡ることができます。この図書館は、専修学校の創立30周年と、創立者の相馬永胤・田尻稲次郎の還暦を記念し、卒業生たちの寄付によって設立されたものでした。
今回は、「目賀田種太郎と近代日本」展とあわせて、専修大学図書館の中から、「書物に見る日本文化の『雅』と『俗』」をテーマに、和書のコレクションを展示します。
『雅』の文芸
『古今和歌集』『伊勢物語』『源氏物語』『和漢朗詠集』など、平安時代を代表する古典文学は、時代を超えて親しまれてきました。
江戸時代より以前、こうした本の多くは書写されたもので、限られた階級の人々だけが享受できるものでした。
『俗』の文芸
江戸後期の小説を総称して「戯作(げさく)」と呼びます。この時代、本を読むことが人々の間に広まり、娯楽性を強めたさまざまな作品が生まれました。これらの書物は出版業の進展も相まって、浮世絵版画と同様の華やかな挿絵も用いられました。
『古今狂歌袋』
宿屋飯盛(石川雅望)編 北尾政演(山東京伝)画
天明7年(1787)刊
和歌に風刺や滑稽を盛り込んだ狂歌は、身分の枠を超えて広く親しまれた。戯作の流行は、こうした狂歌が発端となった。この本は四方山人と名乗る大田南畝が序文を寄せ、100人の狂歌を紹介したもの。
『偐紫(にせむらさき)田舎源氏』
柳亭種彦作 歌川国貞画
文政12年(1829)〜天保13年(1842)刊
舞台を室町時代に変え、足利光氏を光源氏に見立てた『源氏物語』の翻案。当時、女性読者の支持を集め、1万部以上が売れたといわれている。草双紙第一の人気作。