特別展Exhibition

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和モダンの世界 近代の輸出工芸

寄木細工 〜土産物から巧緻を極めた大形家具まで〜

箱根の寄木細工は、江戸後期に駿府(現・静岡市)から伝わったもので、当地の温泉や寺社に訪れた人々の土産物として親しまれた。明治時代以降、箱根に外国人客が増えると、彼らの嗜好に合わせたシガレットケースなどが作られるようになり、さらに欧米への輸出向けとして、巧緻を極めた寄木細工のライティング・ビューローや飾棚なども制作された。こうした大形家具の数は少なく、現存するものは極めて貴重である。

寄木細工 ライティングビューロー/箱根
明治時代
幅241.0(拡張テーブルを開いた状態)
×奥行75.3×高さ181.0cm

拡張テーブルを翼のように引き出すと、全幅が241cmにもなるライティングビューロー(収納付の机)。日本で作られた寄木細工でも最大級のもので、収納も多く、引出しだけでも30杯を数える。

寄木細工 飾棚/箱根
明治時代
幅139.0×奥行34.5×高さ184.0cm

左右の棚と台、最上部の飾板が取り外しできる構造の飾棚で、輸出用にデザインされたもの。一部に樹皮を張り、明治時代初め頃にすでに作られていたと思われる。

寄木細工・木象嵌 シガレットケース各種/箱根
明治〜昭和時代前期

様々なからくり仕掛けのシガレットケース。紙巻たばこ(シガレット)が日本で流行し始めた明治時代中頃から盛んに作られ、海外にも輸出されている。

寄木細工 レターボックス/静岡
明治時代 幅37.5×奥行30.0×高さ17.0cm

静岡で制作された寄木細工。輸出向けと思われるのレターボックスで、寄木文様の蓋を開けた中には梅と朝顔が描かれ、ペンやインク瓶も収まる構造になっている。