特別展Exhibition

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和モダンの世界 近代の輸出工芸

芝山細工 〜貝や象牙などを浮き彫りした巧みな技〜

芝山細工は、美石・象牙・珊瑚・貝殻などを材料に、人物や花鳥などの文様を、螺鈿細工のような平面ではなく、レリーフ状に盛り上げて仕上げたもので、江戸時代後期、下総国芝山(現・千葉県芝山町)の大野木専蔵が考案したとされる。幕末に横浜港が開港されると、その精緻な細工が外国人に注目され、明治・大正時代には輸出品の花形となった。「横浜芝山漆器」とも称されるようになった芝山細工は、外国人の要望に応じて、宝石箱や写真帖(アルバム)のような小物から飾棚や衝立のような大形家具まで、様々なものが作られた。

芝山細工 飾棚
明治時代 幅123.5×奥行37.0×高さ204.0cm

芝山細工特有の花鳥の文様を施した飾棚。横浜芝山漆器として横浜で制作されたもので、上部と台に見られる彫り物は「横浜彫り」と呼ばれる。同じような飾棚が数多く輸出された。

芝山細工 豊年満作図衝立
明治時代 幅181.0×高さ116.0cm

人物の彫りを表情豊かに、着衣の紋様も蒔絵で繊細に表現した芝山細工の衝立の逸品。絵柄の人物には象牙、鳥には白蝶貝が用いられている。

芝山細工 富士山に雉図飾額(一対)※参考図版
明治時代 幅46.5×高さ62.5cm

西洋人が好んだとされる雉を題材として、遠景に富士山を描いた飾額。横浜港の土産の定番として売られていたものと思われる。

芝山細工 人物図チョコレート箱
明治時代 幅19.5×奥行14.5×高さ7.5cm

正月の門付けの一つ、「鳥追い女」と呼ばれた女芸人が描かれた小箱。蓋裏にパリの菓子店の名前があることから、注文を受けて一定数が制作・輸出されたようである。