特別展Exhibition

過去の特別展

動物ずかん 〜動物と塩のかかわり〜

わたしたち人間は、毎日、塩を入れた料理を食べています。では、ほかの動物たちはどうしているのでしょう?

  • ※動物の食べるエサや塩の情報については、上野動物園、多摩動物公園、名古屋港水族館、安佐動物公園、よこはま動物園ズーラシアにご提供いただきました。

マルミミゾウ

塩なめ場をつくる森のゾウ

マルミミゾウ

マルミミゾウと塩なめ場

熱帯林にすむマルミミゾウは、川の近くなどにある、塩などのミネラルが豊富(ほうふ)な場所を見つけます。そして、ゾウならではの強い力で土をほったり森の木をたおしたりして、塩水がしみ出す砂地(すなじ)の広場をつくります。これが塩なめ場です。
塩なめ場には、ほかの草食動物も塩を求(もと)めてやって来ます。

マルミミゾウ

  • すんでいるところ

    アフリカ中央部・西部の熱帯林(ねったいりん)

    ※いわゆるアフリカゾウ(サバンナゾウ)とはちがう、森のゾウです。

  • 大きさ

    (かた)までの高さ:最高(さいこう)2.5m
    体重:2,700~6,000kg

  • 食べもの

    (野生)木の皮、葉、果実(かじつ)など。
    (動物園)1日に、干(ほ)し草34kg、固形飼料(こけいしりょう)3kg、木の葉30kg、さつまいも0.5kg、にんじん2kg、りんご1.5kg、バナナ1kg、パン3kg

  • 食べる塩の量(りょう)

    (動物園)炭酸(たんさん)カルシウム、海藻粉末(かいそうふんまつ)、米ぬか、油かすを加(くわ)えた鉱塩(こうえん)(1日90g)。

  • 塩とのかかわり

    塩をほとんど含(ふく)まない植物ばかり食べているので塩をほしがる。野生では、塩泉(えんせん)や塩を含む土をなめる。

シマウマ

草には塩が入っている?

シマウマ

  • すんでいるところ

    アフリカ東部の草原やアフリカ南西部の山地。

  • 大きさ

    肩までの高さ:1.2~1.6m
    体重:約(やく)260~420kg

  • 食べもの

    (野生)草が主食で木の葉も食べる。
    (動物園)1日に、干(ほ)し草3~5kg、生の牧草(ぼくそう)10kg、固形飼料(こけいしりょう)0.8kgなど。

  • 食べる塩の量(りょう)[ハートマンヤマシマウマ]

    (動物園)鉱塩(こうえん)を自由になめさせる(6カ月で5kg、1日約30g)。固形飼料にも少し塩が含(ふく)まれる。

  • 塩とのかかわり

    塩をほとんど含(ふく)まない植物ばかり食べているので、塩をほしがる。野生では、塩泉(えんせん)や塩を含む土をさがしてなめたりしている。

キリン

高い木の葉っぱを食べる

キリン

  • すんでいるところ

    アフリカの木のまばらな草原。

  • 大きさ

    頭までの高さ:4.5~5.8m
    体重:750~1,500kg

  • 食べもの

    (野生)木の葉(主にアカシア)や小枝(こえだ)
    (動物園)1日に、青草10kg、干(ほ)し草2kg、カシの木の枝葉(えだは)5kg、固形飼料(こけいしりょう)6kg、さつまいも500g、にんじん180g、バナナ180g、配合飼料750g。

  • 食べる塩の量(りょう)

    (動物園)鉱塩(こうえん)を自由になめさせる(4カ月で5kg、1日約40g)。固形飼料にも少し塩が含(ふく)まれる。

  • 塩とのかかわり

    塩をほとんど含(ふく)まない植物ばかり食べているので、塩をほしがる。野生では、塩泉(えんせん)や塩を含む土をさがしてなめたりしている。

ジャイアントパンダ

竹ばかりを食べている

ジャイアントパンダ

  • すんでいるところ

    中国の四川省(しせんしょう)などの標高(ひょうこう)2,300~4,000mの竹林。

  • 大きさ

    体長:1.2~1.7m
    体重:約(やく)100kg

  • 食べもの

    (野生)竹やたけのこが主食。ときどき、鳥や小型(こがた)のほ乳類(にゅうるい)を食べることもある。
    (動物園)1日に、竹やたけのこ20kg。他にパンダ用のとうもろこしだんごやミルクがゆ、りんご、さとうきび、煮(に)たさつまいも、なつめなど。

  • 食べる塩の量(りょう)

    (動物園)パンダ用のミルクにまぜて1日約1g。

  • 塩とのかかわり

    塩を含(ふく)まない竹などが主食なので、塩を少しほしがる。動物園でも、若(わか)いときは少し塩を与(あた)える。野生では、ときどき鳥や小型のほ乳類を食べて塩を補(おぎな)っているのかもしれない。

ニホンザル

塩の味がわかる?

ニホンザル

  • すんでいるところ

    日本(本州、四国、九州)の山林。

  • 大きさ

    体長:50~70cm
    体重:オス10~18kg・メス8~16kg

  • 食べもの

    (野生)果実(かじつ)、種子(しゅし)、茎(くき)のずい、木の皮、昆虫(こんちゅう)など。
    (動物園)1日に、甘夏(あまなつ)などの果実280g、とうもろこし140g、固形飼料(こけいしりょう)170g。

  • 食べる塩の量(りょう)

    (動物園)塩のかたまりを自由になめさせている。どれくらいなめているかは不明(ふめい)

  • 塩とのかかわり

    雑食性(ざっしょくせい)だが、ほとんど塩を含(ふく)まない植物を食べる方が多いので、塩を少しほしがる。

アオバト

いのちがけで海水を飲む!?

アオバト

アオバトが海水を飲むワケ

アオバトは丹沢などの山にすんでいて、海水を飲むときは、いったん海の近くにある森に集まります。そこから照ヶ崎の岩場に飛んでいき、くぼみにたまった海水を飲んで、森に戻るという行動をくりかえします。5~9月の天気のよい日の朝、神奈川県大磯町の照ヶ崎でアオバトを観察できます。
アオバトは、山の木で新芽や果実を食べ、体内でミルクのようなものに変(か)えて、ヒナに与(あた)えます。新芽や果実だけではヒナに与える塩分がないので、海水から塩をとろうとするのだと考えられています。

アオバト

  • すんでいるところ

    日本の山地の森。

  • 大きさ

    体長:約(やく)30cm
    ふつうのハト(ドバト)と同じくらいの大きさだが色は緑。オスは肩(かた)のあたりがブドウ色。

  • 食べもの

    (野生)新芽(しんめ)や果実(かじつ)、木の実など。
    (動物園)ドバトと同じエサと小松菜(こまつな)

  • 食べる塩の量(りょう)

    (野生)夏に海水をよく飲む。海が荒(あ)れていると、波にさらわれて死んでしまうこともある。
    (動物園)おりの中に置(お)いてある塩土(えんど)を少し食べる。

  • 塩とのかかわり

    ほとんど塩を含(ふく)まないものが主食なので塩をほしがるようだ。

ライオン

(む)れで狩(か)りをする

ライオン

  • すんでいるところ

    アフリカとインドの草原やまばらな林。

  • 大きさ

    体長:1.6~2.5m
    尾長(びちょう):0.8~1m
    体重:150~260kg

  • 食べもの

    (野生)狩りをしてヌー、インパラやシマウマなどの草食動物を食べる。
    (動物園)週3回、馬肉6~8kg、鶏(にわとり)の頭3kgなど。週1回、ウサギ。ほかに牛の骨(ほね)など。

  • 食べる塩の量(りょう)

    (野生)獲物(えもの)の草食動物の肉や血液(けつえき)に入っている塩で足りるので食べない。
    (動物園)とくに与(あた)えていない。

  • 塩とのかかわり

    獲物を食べられていれば、塩は足りているようだ。

トラ

孤独(こどく)なハンター

トラ

  • すんでいるところ

    シベリア東部から中国東北部、東南アジアから南アジアの森林。

  • 大きさ[アムールトラ]

    体長:2.5~3m
    体重:180~250kg

  • 食べもの[アムールトラ]

    (野生)捕(と)らえることができる動物は何でも食べるが、シカやイノシシなどの大型(おおがた)の草食動物が多い。単独で狩(か)りをする。
    (動物園)1日に、馬肉4~7kg、鶏(にわとり)の頭1.8 ~2.4kg。週1回、ウサギ。おやつとして牛の骨(ほね)

  • 食べる塩の量(りょう)[アムールトラ]

    (野生)獲物(えもの)の草食動物の肉や血液(けつえき)に入っている塩で足りるので食べない。
    (動物園)とくに与(あた)えていない。

  • 塩とのかかわり

    獲物を食べられていれば、塩は足りているようだ。

キツネ

肉食に近い雑食(ざっしょく)

キツネ

  • すんでいるところ

    日本(本州・四国・九州)の森など。

  • 大きさ

    体長:50~75cm
    尾長(びちょう):30~40cm
    体重:4~6kg

  • 食べもの

    (野生)野ネズミ、野ウサギ、果実(かじつ)など。
    (動物園)1日に、馬肉25g、鶏(にわとり)の頭5個、むしたさつまいも85g、にんじん20g、りんご160g、ドッグフード30g。

  • 食べる塩の量(りょう)

    (動物園)とくに与(あた)えていない。

  • 塩とのかかわり

    獲物(えもの)を食べられていれば、塩は足りているようだ。
    ※いずれも「ホンドギツネ」の情報です。

ウミガメ

余分(よぶん)な塩を目からすてる

ウミガメ

  • すんでいるところ

    産卵(さんらん)の時期以外(いがい)は海。日本近海にすんでいるのは、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイなど。

  • 大きさ[アカウミガメ]

    (こう)らの長さ:約(やく)100cm
    体重:約100kg

  • 食べもの[アカウミガメ]

    (野生)カニやエビ、貝類(かいるい)などが主食。
    (動物園)週4回くらい、アジ・イカ、レタスなど。

  • 食べる塩の量(りょう)[アカウミガメ]

    (野生)海のなかにいて、エサとともに海水を飲み込(こ)むので、塩が多すぎる。
    (動物園・水族館)海水で飼(か)っているので与(あた)えない。

  • 塩とのかかわり

    体の中の余分な塩は「塩類腺(えんるいせん)」という器官(きかん)でこしとり、海水の2~3倍こい塩水にして、目の後ろの穴(あな)からすてる。砂浜(すなはま)で産卵するとき涙(なみだ)を流しているように見えるのは、こい塩水をすてているところ。

オウサマペンギン

余分(よぶん)な塩を鼻からすてる

オウサマペンギン

  • すんでいるところ

    南極周辺(なんきょくしゅうへん)の小島や海。

  • 大きさ

    くちばしの先から尾(お)
     先端(せんたん)まで:約(やく)95cm
    体重:12~15kg

  • 食べもの

    (野生)小魚やイカ。
    (動物園)1日に、アジなどの魚約1kg。

  • 食べる塩の量(りょう)

    (野生)エサとともに海水を飲み込(こ)み、塩が多すぎるので、塩類腺(えんるいせん)からすてる。
    (動物園・水族館)真水で飼(か)っているので、エサの器(うつわ)に塩水を入れて与(あた)える。子育て期は1日に約1g、アジとともに与える。

  • 塩とのかかわり

    体の中の余分な塩を「塩類腺」という器官でこしとって、こい塩水にして、クチバシの根元にある鼻の穴からすてる。ペンギンが時々頭を左右にふるのは、鼻から出てくちばしについたこい塩水を、ふりはらっているところ。

カモメ

ときどき海水で水分ほきゅう

カモメ

  • すんでいるところ

    ユーラシア大陸(たいりく)の北~中部や、北アメリカ大陸の沿岸(えんがん)

  • 大きさ

    体長:55~67cm
    体重:800~1,000g

  • 食べもの

    (野生)おもに魚や海生動物。ほかの鳥のヒナや小動物を捕食(ほしょく)することも。
    (動物園)1日に、アジ250g。

  • 食べる塩の量(りょう)

    (野生)エサとともに海水を飲み込(こ)み、塩が多すぎるので、塩類腺(えんるいせん)からすてる。
    (動物園)真水で飼(か)っているが、塩は与(あた)えない(エサに入っている塩で足りる)。

  • 塩とのかかわり

    体の中の余分な塩を「塩類腺」という器官でこしとって、こい塩水にして、クチバシの根元にある鼻の穴からすてる。
    ※いずれも「セグロカモメ」の情報です。