過去の特別展
塩も海のめぐみ
“海のめぐみ”は海藻(かいそう)や魚のような生き物ばかりではありません。塩も生きるために欠かせない大切(たいせつ)な“海のめぐみ”の一つです。
海水から塩ができるまで
ー 煮(に)つめて結晶させる日本の製塩工場(せいえんこうじょう) ー
日本では海水から作る塩がほとんど。海水から塩を取り出す方法(ほうほう)は、むかしからいろいろ工夫(くふう)されてきて、今もいろいろな方法で作られていますが、ここで紹介(しょうかい)するのは大きな工場での作り方です。
1リットルに30グラムくらいの割合(わりあい)で、塩が溶(と)けています。
ゴミや砂(すな)や微生物(びせいぶつ)などがこしとられます。ろ過が不十分(ふじゅうぶん)だと塩に色がつきます。
イオン交換膜(こうかんまく)という特殊(とくしゅ)な膜と電気の力で塩分が集められて、海水の約6倍の濃(こ)い塩水になります。
真空式蒸発缶(しんくうしきじょうはつかん)という密閉(みっぺい)した釜(かま)[立釜(たてがま)]で煮(に)つめて水を蒸発させていくと、塩が結晶になってあらわれます。
塩の結晶についていた水やにがりが、脱水機(だっすいき)でとり除かれます。脱水の度合(どあ)いで、水分、純度(じゅんど)が決まります。
袋(ふくろ)や箱(はこ)、ビンなどに入れられ、船やトラックでお店に運ばれて、みんなの家にとどきます。
海水から塩ができるまで
ー 太陽と風の力で結晶させるメキシコの天日塩田(てんぴえんでん) ー
世界には、海水を大きな池にため、雨が少ない気候(きこう)を生かして作る「天日塩(てんぴえん)」が多くあります。雨が多い日本ではできない方法(ほうほう)ですが、世界で海水から作る塩は天日塩がふつうです。
ゲレロネグロ天日塩田では、海水をポンプで貯水池(ちょすいち)に流し入れます。
むこう岸が見えないくらい広い貯水池。草もまばらな砂漠(さばく)の風と太陽の熱(ねつ)で、海水がどんどん蒸発(じょうはつ)します。
海水はいくつもの蒸発池(じょうはついけ)を移動(いどう)しながら、さらに蒸発して、濃(こ)い塩水になります。
結晶池に移された濃い塩水がさらに蒸発すると、塩の結晶があらわれます。たまった塩を大きなトレーラーで集めると、にがりが残(のこ)ります。海水から塩になるまで約(やく)2年半かかります。
集めた塩を山積(やまづ)みにして、まとわりついたにがりを抜(ぬ)きます。
にがりがぬけた⑤の塩は、日本などに船で運ばれます。
岩塩(がんえん)も湖塩(こえん)も、もとは海水
1海水
海水には、約(やく)3%の濃(こ)さで塩が溶(と)けています。
2塩湖(えんこ)
地殻変動(ちかくへんどう)などで海水が陸(りく)に閉じ込(こ)められて塩湖ができます。乾燥地(かんそうち)なら、水の蒸発(じょうはつ)で塩が濃(こ)くなっていきます。塩湖の水からできた塩は湖塩(こえん)といいます。
3塩湖から塩原(えんげん)へ
塩湖が濃くなると、やがて塩が結晶(けっしょう)して底(そこ)にたまります。さらに乾燥して水がなくなると、一面が塩だらけの塩原になります。
4岩塩(がんえん)
塩原の塩が地下に埋(う)まり、長い年月をかけて岩塩層(がんえんそう)になります。岩塩層が水に溶けた地下かん水(濃い塩水)があるところもあります。