過去の特別展・企画展
1. 塩の使いみち
塩は、食べ物はもちろんのこと、いろいろな工業製品を作るときにも使われています。
いちばん下の幹にある「塩」から上へたどると、家庭用・食品加工用、一般工業用、家畜用、ソーダ工業用という使いみちで枝が分かれていて、塩がかかわってできあがる品物が分かります。
大きく3つに分かれる塩の使いみち
さまざまなものを作るのに必要となる塩ですが、その使われ方は下の図のように3つに大きく分けられます。
塩には、味つけだけでなく、脱水(だっすい)・防腐(ぼうふ)・発酵調整(はっこうちょうせい)・ねばりを出すなどのはたらきもあります。これらを利用して、広く食品の加工に塩が使われています。
塩そのものが持つさまざまな性質(せいしつ)が、身近な工業製品(せいひん)に利用されています。皮なめしやイオン交換樹脂(こうかんじゅし)の再生(さいせい)、染料(せんりょう)、合成(ごうせい)ゴム、いろいろな化学薬品(かがくやくひん)の製造(せいぞう)などに塩が使われています。
ソーダ工業とは、原料(げんりょう)の塩を、ナトリウムと塩素(えんそ)に分解(ぶんかい)し、か性(せい)ソーダ[水酸化(すいさんか)ナトリウム]や塩素、ソーダ灰(ばい)[炭酸(たんさん)ナトリウム]、そして塩酸(えんさん)や塩安(えんあん)などのソーダ製品(せいひん)を作る工業です。塩が姿(すがた)を変えてできるソーダ製品が、さまざまな工業に使われています。
塩を変身させて作ったか性(せい)ソーダ、塩素(えんそ)、ソーダ灰(ばい)は、いろいろな品物を作るのに使われます。つまり、塩がないと、身近にあるさまざまな品物が作れないことになります。
◆ソーダ工業での塩の「変身」について
塩(NaCl)は、ナトリウムイオン(Na+)と塩化物イオン(Cl-)が結びついてできており、水にとけると2つのイオンに分かれます。イオンに分かれただけでは性質は変わりませんが、ソーダ工業では、結びつく相手のイオンを変えることで、か性ソーダ(NaOH)やソーダ灰(Na2CO3)、塩素(Cl)の化合物など、もとの塩とは全く性質の異なる物質に作りかえています。