過去の特別展・企画展
3. 食べる塩・食べない塩
ここでは、日本で1年間に使われる塩の量や、食べ物などに使われる「食べる塩」と、工業製品などに使われる「食べない塩」の割合、それぞれがどのように作られるのかについて紹介します。
1年間に使われる塩はどれくらい?
日本で使われる塩は1年間に約800万トン。そのうち調味料(ちょうみりょう)として家庭で使われる塩の量(りょう)は、3%にもなりません。食品工業用(しょくひんこうぎょうよう)と合わせても、食べ物に使う量は全体の12%くらいです。
塩のほとんどはソーダ工業などの工業に使われ、いろいろな工業製品(こうぎょうせいひん)などに姿(すがた)をかえて、私たちの生活を支えています。実は、食べ物以外に使う量の方がずっと多いのです。
このように使われる塩のうち、国内で作られているのは、12%くらいしかありません。
1人ぶんだと、どれくらい?
日本国内で、1人が1年間に使った塩の量は、62.5kg。そのうちのほとんどは「食べない塩」として使ったものです。
食べない塩はどこから?〈外国から輸入する〉
日本で使われる塩は、85%以上を輸入(ゆにゅう)にたよっており、「食べない塩」のほとんどは、メキシコやオーストラリアで作られた天日塩です。
メキシコの天日塩田
中米・メキシコの天日塩田(てんぴえんでん)では、1年間に約100ミリしか雨が降(ふ)りません。砂漠(さばく)のように乾燥(かんそう)した気候(きこう)のため、太陽と風の力だけで海水を蒸発(じょうはつ)させて塩を作ることができます。できた塩は船で日本まで運ばれ、おもにソーダ工業に使われて、私たちの生活を支えています。
オーストラリアで作られる天日塩も同じように使われています。
食べる塩はどこから?〈日本で作る〉
日本で海水から作られる塩のほとんどは「食べる塩」として使われます。
海水から塩ができるまで
— 現在(げんざい)の製塩(せいえん)工場 —
※輸入した天日塩を原料とするなど、
これ以外の方法で作られる塩もあります。
1リットルに30グラムくらいの割合(わりあい)で、溶(と)けています。
ゴミや砂(すな)や微生物(びせいぶつ)などがこしとられます。ろ過が不十分(ふじゅうぶん)だと塩に色がつきます。
イオン交換膜(こうかんまく)という特殊(とくしゅ)な膜と電気の力で塩分(えんぶん)が集められて、海水の約6倍の濃(こ)い塩水になります。
煮(に)つめて水を蒸発させていくと、塩が結晶になってあらわれます。
塩の結晶についていた水やにがりが、脱水機(だっすいき)でとり除(のぞ)かれます。脱水の度合(どあ)いで、水分、純度(じゅんど)が決まります。
袋(ふくろ)や箱(はこ)、ビンなどに入れられ、船やトラックでお店に運ばれて、みんなの家にとどきます。