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世界 塩さんぽ 〜5つの地域の、5つのおもしろい話〜
塩の作られ方や使われ方は国や地域によってさまざまです。ここでは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、日本、アメリカに見られる、塩のおもしろい話をご紹介!
- 池の水から作る塩
- サハラ砂漠の真ん中にあるニジェールのビルマ村では、地面に穴を掘って地下水をためると、土中の塩分がとけ出て、塩水の池ができます。この池の水が強い日ざしで蒸発すると、池の底に塩の結晶がたまります。
この塩は、ラクダのキャラバンで砂漠をこえて、約750km先の遠くの町まで運ばれるぞ。塩は、ラクダが運びやすいように、筒のかたちに固められているのだ。
- 塩レモンはアフリカ生まれ?
- 最近人気の塩レモンは、もともとモロッコ料理で定番の調味料です。レモンに十字の切り込みを入れ、切り込みのなかに塩を詰めます。それを密閉できるビンに入れ、さらに酢、水、トウガラシ、ニンニクを入れてフタをしておくとできます。
モロッコの蒸し料理「タジン」には、塩レモンが欠かせません。塩レモンをいちょう切りにして鍋に入れ、ビンの液体も少し加えて肉や野菜といっしょに蒸します。
1か月ほどすると、塩のはたらきでレモンから水が吸い出され、風味が増してくる。半年以上置いてから使うこともあるぞ。
- ミイラづくりと塩
- 古代エジプトでは、亡くなった人の体をくさらせないように、ミイラにしていました。そのミイラづくりにも塩が使われていました。塩のはたらきで体から水が吸い出され、くさりにくくなるのです。
エジプトには、塩のなかまのナトロンがとれる湖があり、ナトロンもミイラづくりに多く使われていたぞ。ナトロンには、脂肪を長持ちしやすい状態に変える力もあるのだ。
- 言葉を使わずに塩と黄金を交換
- 西アフリカでは、言葉が通じない人どうしでも塩と黄金の取り引きができる、「沈黙交易」という方法がありました。まず、塩を持っている人が決まった場所へ塩を置き、立ち去ります。つづいて金を持っている人が同じ場所に金を置き、立ち去ります。塩を持ってきた人が戻ってきて、満足できる量の金が置いてあれば、金を持ち帰るのです。
塩を持ってきた人は、金の量に満足できなければ、そのまま立ち去る。金も塩も残っているときは、取り引きがすんでいないことになる。塩を持ってきた人は、満足できる量の金を追加してもらえるまで、金を
持ち帰らずに見守るぞ。
- 塩湖に集まるフラミンゴ
- タンザニアのナトロン湖は塩分濃度が高く、生物が住みにくい湖ですが、赤い藻類のなかま「スピルリナ」は育つことができます。スピルリナが増えると湖は赤くそまります。フラミンゴはスピルリナを食べに湖に集まります。
フラミンゴがピンク色なのは、赤い「スピルリナ」を食べているからなのだ。