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世界 塩さんぽ 〜5つの地域の、5つのおもしろい話〜
塩の作られ方や使われ方は国や地域によってさまざまです。ここでは、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、日本、アメリカに見られる、塩のおもしろい話をご紹介!
- 塩田での塩作り
- 昔から日本では、海水をそのまま煮つめるのではなく、こい塩水にしてから煮つめる方法で塩を作ってきました。瀬戸内海などでは、入浜式塩田という人工の砂地で、こい塩水を作っていました。潮が満ちたら、砂地に海水を引き入れます。海水でしめった砂を太陽と風の力で乾かし、塩まじりの砂にして、その砂に海水をかけてこい塩水を作ります。
塩田で重い砂をならしたり集めたりするのは、たいへんな力仕事。この仕事で体をきたえ、オリンピックに出たマラソン選手もいたぞ。写真の一番後ろを走っているのは、1928年のアムステルダム・オリンピックに出た香川県坂出市の山田兼松選手だ。
- 魚で作る醤油
- ふだん使っている醤油は、おもに大豆と塩で作りますが、魚と塩で作る醤油もあります。これを魚醤といいます。日本では、秋田県のしょっつるや石川県のいしりが有名です。
しょっつるの原料はハタハタという秋田で多くとれる魚だ。ハタハタを長期間塩づけにして発酵させると、ドロドロになる。それをろ過して、液体にしたら完成だ。
- 梅干し
- 梅干しは、梅を塩づけにして乾かした保存食です。塩には、動物や植物の体から、水を吸い出す力があります。塩づけにすることで梅の実から水分がぬけ、バイキンが活動しにくくなるため、長持ちするのです。
梅干しは昔、長生きのための薬とされていました。今でも、京都の北野天満宮では、神社のなかで取れた梅を塩づけにしたあとカラカラになるまで干し、健康や長寿を招く正月の縁起物として「大福梅」を授与しています。
梅干しがしわしわなのは、梅の実から水分がぬけたからだぞ。梅干しはわしの大好物!
- 塩のはかり方
- 今は塩の量を重さではかっていますが、昔は体積ではかっていました。さらにその昔は、かたまりの数で数えて、運んだり売ったりしていました。
大昔は、塩を同じ大きさの土器に入れて焼き固め、かたまりの数を数えて、やりとりしました。これを「堅塩」といいます。伊勢神宮では今も堅塩を作って使っています。
体積ではかっていた時代に使われた、塩俵という筒形の入れもの。大きさの同じ入れものに入れると、体積がわかりやすいぞ!
- 塩地蔵
- 東京には、塩がおそなえされた「塩地蔵」が多くあります。塩地蔵には、「海や川で発見され引きあげられた」「塩の商人が塩を奉納した」「病気を治してくれる」…などの言い伝えがあります。
足立区・西新井大師にある塩地蔵は病気、とくにイボを治してくれる言い伝えで有名だぞ。塩地蔵の塩を持って帰り、イボが治ったら、持ち帰った倍の量の塩をお供えするそうだ。